風雲児  烈風伝
        ・Eureka!を追って 〜セイダバエの秋〜

2014年 11月3日 高知県 伊田
・吹き荒れる風、これがチャンス!
 10月の連休に計画した四国釣行が台風で飛ばされたので、今回でリベンジ!・・・と思ってたら、11月頭の連休も低気圧の通過による激しい雨とうねりという厳しい状況でスタートしてしまいました。
 日曜日から文化の日にかけてはその低気圧がオホーツク海へと進み、北日本では最大瞬間風速40m、平地でも雪という凄まじい天候ですし、西日本でも北西風ビュンビュンで瀬戸大橋は強風のため二輪車通行止めになる有様。高知県でも当然北西の風強く、波の高さは3m、天気は晴れという予報でした。
 ラッキー!これでうねりが消えました。雨後のため河口の近くはダメですが、風裏になる場所を選びさえすれば安全で楽しい釣りができるはずです。

 目的地は今回も黒潮町の「伊田」です。日程的にも金銭的にも日帰り釣行じゃないと無理なので、近くて便利な所がいいんです。
 それに何と言っても「シマアジが釣れている」という話ですからね〜。10月後半に風邪をこじらせて感染し、完全に治り切っていない気管支炎も、土佐の潮風とアドレナリン、そして美味しいシマアジの刺身で完治してくれる・・・はず。

・セイダバエに同礁
 セイダバエ。目盛は30m。
 午前6時半すぎ、「灘」のお客さんを渡し終えた掛川船長が伊田漁港に車でやってきて、係留している小船で出発。名礁セイダバエ(瀬田碆)に、2人組の底物師と一緒に渡礁しました。

 セイダバエは伊田漁港を出てすぐの所にある魚種豊富な磯。同礁者にも気兼ね無用な大きな磯ですし、ポイントも東西南北すべてにあって風と潮を見ての移動が可能という便利な磯です。
 それでも底物を狙うとなると磯の南側がいいそうですから、2人組の底物師は当然そこに入り、私はとりあえず北向きにある船着きでスタートしました。

 オキアミ生とV9徳用、磯グレ浮かせに、普段はあまり使わない赤アミを少量配合した撒き餌を足元に入れて様子を見ると、オヤビッチャ、チョウチョウウオ、コッパグレ、カワハギなどがあまり邪魔にならない程度と、40cmくらいのイラが一匹浮いてきました。
 この日の先発はG5の誘導。ハリス2号を1ヒロ半取って直結部にジンタン5号を1個、そこから矢引き程度上にウキ止めという構成です。これを10mほど沖に投入したところ、一投目からいきなりウキが入って26.5cmのプロポーション良好な口太グレをゲット!

 幸先の良いスタートに気を良くしてノリノリで打ち返していると、10分後にやや沖でアタリ。先ほどよりも歯ごたえを増した引きを楽しませてくれた魚は納得の34cm。様子を見に来ていた底物師の方から「ええグレ釣ったなあ〜!」と祝福の声をいただきました。

 その6分後に掛かったのは25.5cmですが、横走りする引きはグレとは全く違うもの。キラキラと輝く姿が見えてもしっかり粘って、こんなサイズにも関わらずなかなか浮上してきません。
 海面までは低く、前にも後ろにも遮るもの無し。それでも私はタモを使ってフィニッシュ。小さいとはいえ本日の本命魚シマアジ、折角の絶品の刺身を口切れで逃がす気はさらさらないですからねえ。

 それから30cm手前のグレを2匹挟んで、25分後にも同じ場所でシマアジをゲット。今度は27.5cmと少しではありますがサイズアップです!
 この時まだ7時42分。サッカーのハーフタイムより短い間に本命2枚と納得サイズを含むグレのキープサイズを3枚。今日はもう帰ってもいいや〜!なんて思ってしまいましたよ。・・・ま、思ったところで本当に帰るはずがありませんけどね。折角えらい目して海を越えてきてるのだから^^

・理由
 東の釣り座から見た伊田漁港。船着きはクーラーの向こう側。納竿直前(満潮直前)の
画像のため、2つの干出し岩は水没。
 8時頃になると、足元の撒き餌にキバンドウ(ヒブダイ)が3〜4匹やってきました。その中の一匹が水面まで顔を出して撒き餌を漁っているのですが、それが覗きに来られた底物師も呆れた一匹、60cmを軽々超えるデカバンなんです。フカセタックルでそんなの食わせたら大変ですので、そいつを沖や左右のポイントに行かせないことがその後のマキエワークのコンセプトになりました。簡単に掬えそうだったのでタモで捕獲して、狙わないポイントに放り込んくるほうが手っ取り早かったかもしれないけど・・・

 一方、沖には60〜70cmのボラの群れが湧いて撒き餌に素早く反応しています。でもこちらには敵対する必要はありません。サシエにボイルを使って引っ張らずに落とすと、くわえても吐き出して狙いのタナまで落としてくれる上、小さい魚は怖がって近寄らなくなりますから、むしろ味方に付けてしまえばOKです。
 実際、ボラの群れの中を狙うことで旨そうな口太グレを仕留めることができました。サイズは36cm。ヒットしたタナは1ヒロ半。8時22分のことでした。

 さらに面白い展開になってきたと思ったのも束の間、8時半ごろを境に上ずってきていたグレが急に姿を消してしまいました。私もすぐに棚を落としましたがそれだけでは効果がなく、一転してサシエをかすめ取られるだけの時間帯となってしまいました。
 ところが干潮の潮止まりを経て上げ潮が動き出した10時ごろに状況が好転。久々に27cmを追加したのを皮切りに、船着き西側のハエ根周りでアタリが連発、25cmだったキープサイズを2cmほど引き上げるという事態になりました。
 ただ単に潮が動き出したからだけではありません。Bのウキにジンタン2号と3号、ウキ下2ヒロ半というバッチリとはまる仕掛けを迷走の末に見つけ出すことができた結果です。

 ユリーカ!(見つけたぞ!)
 この結果、この瞬間を味わいたいからこそ、グレ釣りなんていう過酷でややこしくて面倒で、そして恐ろしいほど楽しい釣りを私はずっと続けているのです。

・ジンクス




足摺岬を前にして
竿を振る底物師二人と、
この日唯一のイシガキダイ。
 喜びも束の間、またまたアタリが遠のいて、全てが分からなくなってしまいました。
 北西の向かい風が強まってきたし、底潮も角度の違う当て潮だし・・・ということで、干出し岩の間の溝狙いにチャレンジしてみたり、東の釣り座に移動して様子を見たりしますが、干出し岩の間は20cm前半の尾長の子ばかり、東はオヤビッチャと船着きからすっ飛んできた巨大キバンドウばかりで、尾長の子少々以外にグレのヒットはありません。
 まあ、のんびり楽しめるのがこのエリアのいい所です。こういう時はポイントを休めて待つのも手。昼も近づいて腹も減ったことだし、底物釣りを見学しながら食事タイムだな。

 私はこれまでに数回、見ず知らずの底物師と同じ磯に上がりましたが、その際同礁した底物師は必ずといっていいほど本命をヒットさせるというジンクスを持っています。ですのでこの日もきっと釣れるはずなのですが、意外なことに二人ともサッパリとのことでした。
 しかし、私が休憩を終え船着きで釣りを再開していた12時13分、西側に入っておられた方が、ついにイシガキダイのぶり上げに成功しました!本人にとっては全く納得できないサイズでしょうけど本命は本命です。ま、まあサイズも含めてジンクス通りということで・・・。

・寄せ波引き波
 船着きの方では12時前から海の様子が変わっていました。
 それまで見えていなかった45〜50cmクラスのキツが動きはじめたのです。ボラに混じって活発に餌を追うキツに釣られたのか、グレの姿もはっきりと確認できるようになっていました。
 私はこの変化を見て、朝に効果を発揮したG5の仕掛けと、そのウキをハリスに通した仕掛けを矢継ぎ早に投入してみますが反応なし。次いで00ウキのスルスルを試したり、それにジンタン7号を打ったものを張り張りにして竿の操作で沈ませずに釣ったりもしますが、これらもどうにもしっくりしません。
 どうも00のウキが合っていないと思えたので0に交換して、ウキの下に入れる物をとっかえひっかえ試していきました。そして普段はまるで役に立たないMATCH棒(M寸)という全長6cmほどの細長いマーカーをセットしてみると、これまでの仕掛けは何だったのかという大当たり。本日2度目のユリーカ!です。

 この日この時だけのベストマッチングの仕掛けはグレの連発だけではなく、40cm〜50cm手前のキバンドウ、サンノジ、キツなどの連続ヒットも呼び込みました。ハリスは当初から2号のままですので切られるということはありませんでしたが、いずれも暴力的な引きでしんどいやり取りが続きました。
 素晴らしい!こういうのがあるからこそ海を越えてやってこざるをえないのです。
 暴れっぷりが特に強烈だった70cmクラスのボラは惜しかったなあ。この海域のものならかなり旨かったはずなので、グレが貧果なら確実にカルパッチョか何かになってたはず^^

・大満足!
 この日は不発だった東の釣り座からの井ノ岬。
 午後1時過ぎには随分と潮位が高くなり、波が駆け上がる範囲が広がって、船着きでの釣りが徐々に心細くなってきていました。向かい風も再び強くなり、潮も釣りづらいものになり、魚たちの姿も再び見えなくなりました。
 先ほどまで当たっていたMATCH棒はすでにマッチせず、再構築したBの仕掛けを手に船着きと東の釣り座を行ったり来たり。
 しかしながら、東は相変わらずのオヤビッチャとキバンドウの姿ばかりでグレは反応せず、食ってきてもサンノジくらい。船着きは左のサラシでコッパ尾長がパラパラ釣れるぐらいになってしまいました。後で船長に聞いたら、この磯は北西風の舞い込みが激しくなると釣れなくなるんだとか。

 釣れないので浅い磯でもついついウキ下が深くなってしまいます。そして3時ごろに根掛かりでブレイク。充分釣ったし、日帰り釣行なので少しでも眠っておきたいと思ってこれをきっかけに納竿。2人でイシガキダイ1枚のみに終わってしまった底物師も直後に釣りを止め、渡船がやってくる4時過ぎまで3人で寝てました。

 伊田漁港からの帰途についた私のクーラーにはシマアジ2枚と31〜36cm4枚を含む12枚の口太グレ。本命だったはずのシマアジが序盤にしか回遊してこないという誤算はあったものの刺身はバッチリ味わえます。いつの間にか本命に化けていたグレの好釣果も喜びを倍増させます。
 しかし本当に嬉しいものはクーラーには収まりきらずに溢れ出ています。それは激しく変化する状況を必死で追いかけて、迷走して、そして追い付いたという達成感という釣果に他なりません。

 この日の灘では40cmを頭に20枚という釣果も出ていたそうですし、これからさらに面白くなっていくはず井の岬周辺。ここでまた最高のユリーカ!を探し求めることになる日が、今から待ち遠しくてなりません。


 北西向きの対岸には入野の浜が4kmにわたって延び、素晴らしい景観を
作り出しています。

 ● 伊田 ida
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・伊田漁港
時間(当日) 6:45〜16:20
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯予約可
磯替わり 基本的に無し
特記事項 灘エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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