・5分の差で
時として雪の舞う兵庫の山の上で仕事に追われている間に、高知南西部では桜が咲きはじめ、いつしか田植えの準備まで始まってしました。
2か月間頑張ったご褒美の平日代休3連休。今回やってきたのは、「最近食いが止まってる。予約があるので船は出すけど、全然食わんで!」という由良半島の松田渡船です。
当初は久々に絶好調キープで終盤戦に突入した口太に加え、1か0かの大勝負・単発の大型尾長にもそろそろ挑めるかもしれない高知県南西部のどこかに行く予定でした。ところが狙いの渡船は臨時休業。2日目は南岸低気圧の通過という絶望的な天気図。そこで二日目に逃げ場となるポイントとの位置関係、過去の相性や懐の事情などなどあってこの渡船屋を選んだわけですが、今回は下手をすればここにすら辿り着けていなかったかもしれません。
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船越運河の沖から塩子島方面。この時はまだ幻想的な景色。 |
3月17日の予想最高気温は20度という季節外れの暖かさで、最低気温も相当高い雨上がり。瀬戸大橋を渡り、坂出本線料金所を過ぎた所で濃霧が行く手を遮りました。慣れた道なので白線を頼りにどうにか走っていると途中で通行止め情報!先ほど走ってきた坂出ジャンクション辺りが濃霧のため通行止めになったとハイウェイラジオが告げています。
濃霧の高速道路は猛烈に眠気を催すので高瀬PAで休み、少しずつ前進してどうにか豊浜SAに辿り着いたのですが、そこで通行止めの範囲が一つ手前の大野原インターまで拡大されたことを知らされます。
まさにタッチの差でした。もし出発が5分遅れていたら、もし高瀬PAで眠りに落ちてしまっていたら、翌日は釣りではなくて讃岐うどんの食べ歩きをして帰ることになっていたでしょう。
・ゆくへもしらぬ恋の道かな
青物の泳がせ釣りを1名、グレのフカセ釣りを3組4名乗せた松田渡船は、小さな霧の切れ端を所々にあしらった船越運河を6時に出航しました。
漕ぎ出した穏やかな海と有明の月を浮かべた空の間には大波のような分厚い霧の海があり、そこに沈み込む遠くの山々とともに幻想的な風景を織りなしています。
ただこの「幻想的」なんて呑気な言葉を使うことが許されたのは、運河の沖の観音島を過ぎるほんの少しの間だけでした。
しばらく走ると船の周囲が真っ白になってしまいました。視界に入るのは船の周りの僅か30mの海とどこまでも続く白い世界。すぐそこにあるはずの集落も半島の山並みも、最早どこにも見えません。
そこから先は視程30m程度の航海。船のGPSレーダーを頼りにゆっくりゆっくり前進し、前方に小さな低い磯が一つと、切り立った崖の一部がぼんやりと見える場所に辿り着きました。ここは小猿の沖なのか、ミツバエの沖なのか、それとも雨崎なのかすら判別することはできませんが、由良に渡す6軒の渡船屋が集結する抽選(ジャンケン)会場に一番乗りしたことだけは確実です。
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雨崎方面は9時を過ぎてもこの状態でした。 |
「GPS画面のあんたの船に向かっているけど、全然見えん。そっちからは見えてるか?」
松田渡船の無線機にはすぐ近くにいるはずの渡船からの連絡が次々に飛び込んできます。船長も乗客も周辺を見回し、目を凝らして霧の中からぼんやりと浮かび上がってくる船影を探しますが、相当接近しないと見えないので心配になってきます。
「由良の門(と)を渡る舟人かぢを絶え・・・」
こんなの、レーダーが無かったとしたら進むことも戻ることも不可能です。実際、渡船うちの一隻は抽選会場に辿り着くことができず、「空いたところに後から着けるけん、先に渡しといて」という無線を残して抽選を放棄する事態になっていました。
・危機一髪!
この日は第一希望の競合が無かったので、恐ろしく狭い水道を通って大猿島に向かい、ハマガラスらしき場所にノマセ釣りの方1名が渡礁。次に大ウド周辺と思われる場所にグレ釣りの方1名を降ろすと、またまた濃霧の狭い狭い水道を通って観音島へと戻っていきます。
ところがその道中で船長が困惑の表情。GPSレーダーが壊れ、あるはずのない陸地が表示されているのです。ただ幸いにも位置がよかった。その時すでに観音島にほど近い場所にいたので程なく濃霧地帯から抜けることができ、私は高場、残りの二人組は船着きへの渡礁に成功。船も無事の帰還に成功しました。
・沸騰!
時期が時期だけに期待はしていませんが、観音島は潮が流れる場所でもないのに40〜45cmくらいの尾長グレの実績の高い場所だそうです。全体で低調な状態ですから、今は口太に関しても沖磯よりは堅いのではないか?というアドバイスも常連さんからいただいてます。
道具をセットしながら撒き餌を入れて様子を伺ってみるとカワハギ、ウマヅラハギ、カゴカキダイなどが活発に動いています。ですので活性が高いパターンでは?と推測して00のスルスル、ハリス2ヒロの仕掛けを組んでいざ投入!と思った瞬間に水面がとんでもないことになりました。
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オムスビの沖に去っていくナブラと鳥山。 |
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観音島船着き。この日は不発。 |
眼前の海面全てが沸騰したかと思うほどのボイル!数えきれないほどの小魚が一斉に爆発音を立てて逃げ惑い、数多の海鳥たちが我先にと突入していきます。
私は掛ったとしても獲れないとは知りながらも、手元の仕掛けを遠投せずにはいられませんでした。隣接する船着きからも当然ながらウキとルアーが飛んできました。結果的には3人とも不発で、ボイルは左沖のオムスビという磯の向こう側を爆発に巻き込みながら濃霧の中へ消えていってしまいましたが・・・。
・元気がいいのもいるけれど
7時7分、海面が落ち着きかけたところで、改めてグレ狙いの第1投。
さすがにこのざわついた状況の直後ではグレなんて食わないだろうとたかをくくっていましたが、なんと一投目から小気味よいアタリがあって、26cmの口太グレが釣れてしまいました。
それからは連発はしませんがポツリポツリと口太が食ってきました。27cm、28.5cm、8時29分には30cm。どれもこれも真子も白子も持っていない産卵に関係の無い魚ばかりですね。途中から撒き餌に殺到するようになった小ぶりなタカベの群れに遅れること数分、撒き餌の中心部に姿を現す数枚のグレも総じてそういうサイズです。
折角宇和海に来ているのだからもう少し上のサイズ、あわよくば近頃のホームグラウンドでは厳しい40cm台後半が欲しいなどと思ってウキを替え、オモリを替え、投入場所や距離を変えてやってみますが、それなりのサイズはみなさん産休中、尾長もみなさん冬休みのようですねえ。
沖を狙っても食ってきたのはイサギ1枚。しかも26.5cmのウリボウでした。この高場では前日に「イサギにはとても見えない」というほどのビッグサイズが4枚も出たという話だったので期待してたのですが・・・。
9時ごろには潮が止まってタカベしか見えなくなったので、撒き餌をストップしてポイントをリセットすることにしました。
その間、背後の崖を登ってみたり、食事を摂ったり、干出した足場を利用して船着きに行って情報交換をするなどして時間潰し。やはり船着きも不調のようで30cm弱の口太が2人で1枚とのこと。ちょうどお邪魔している最中にまたも盛大なボイルが起こりましたが、今回もまた常連さんのルアーには何の反応も無しでした。
後半戦は26cmが一枚と、11時前に29cmが釣れたものの、その後はエサトリすら疎らな寂しい海。浅ダナ、深ダナ、磯際、遠投、軽い仕掛け、重い仕掛け・・・どれもこれもサッパリでどうにもこうにもなりません。
結局初日は26cm〜30cmの口太5枚で終了。他のお客さんもダメでした。
でも肝心なのは明日の釣り。どうしても釣ってみたい魚がいる明日の釣り。今回、磯釣りはただの前座でしかありませんからね。
・・・そういうことにしておきましょうか。
● 由良半島 yura-hantou |
利用渡船 |
松田渡船 |
出港地 |
愛媛県愛南町・船越 |
時間(当日) |
6:00〜14:00
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料金 |
3500円(沖磯は4500円)
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
無し |
宿/仮眠所 |
無料仮眠所あり |
システム |
一組目はジャイケン。
その後は他船との競争。 |
磯替わり |
可 |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
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背後から見下ろす観音島高場。いい時期に再挑戦したいものです。 |
塩子島、そして御荘方面。昼過ぎになってやっと霧が晴れました。
船越運河の北の山々は下船後もまだまだ濃霧の中でしたが・・・。 |
・御荘へ
その夜は御荘湾の南岸の中ほど、高畑地区にある「民宿山本屋」に宿泊。
ここの宿は「エギング渡船八栄丸」という渡船を持っていて私も何度も利用していたのですが、奥さんが亡くなった数年前に渡船部門を廃業、民宿経営に専念されているとのことです。
八栄丸はなくなりましたが、それと入れ替わるかのように、宿の隣の塩干業者「大島海産」が渡船業とイカダ・カセ釣り業(釣り筏宇和海)を始めました。
この大島海産の渡船は御荘湾内と小貝バエまでがテリトリーということで沖磯には行けなくなったのが残念ですが、きめ細やかなサービスが人気で全国各地のチヌファンが集う場所となっています。
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釣り筏宇和海(大島海産)のイカダ。今回は独り占め! |
18日午前6時半、二日に渡って磯で巨チヌを狙うという大阪大学の学生4人組と一緒に渡船で出航。
昼前から雨、低気圧通過に伴う南うねりが確実な今日は、御荘湾内の磯へ私も渡礁・・・するわけではなく、港から500m弱の所にある釣り筏で私だけ下船です。
イカダといってもここはチヌ釣りの聖地・御荘湾。ロクマル、いやそれ以上のサイズも射程内!でも、私は四国で積極的にチヌを狙うことはありませんし、イカダのチヌタックル自体持ってないし・・・。
・どうしても釣りたい魚
私がここに来たのは、10年以上前からどうしても釣ってみたい、食べてみたいと思っていた魚が生息しているということを知ったから。
その魚は通常は船釣りでの外道でしかないものの、冬〜早春にだけは浅場にもやってくるフィッシュイーター。学名は全知全能の神「ゼウス」(Zeus faber)、フランス名とスペイン名はキリスト12使徒の一人「聖ペトロ」(サン=ピエール/サン=ピエトロ)、英名はよくわからない「ジョン・ドーリー」で、日本の釣り雑誌等ではしばしば「怪魚」と表現される魚。カワハギのように扁平した体と派手な背鰭を持ち、釣り上げれば「かなりうるさい」と評される鳴き声を上げ続ける魚。そして、まるで地を這うかのように体を横に倒してホバリングしながら小魚に近づき、驚くほど伸長する巨大な口で一気に吸い込むという驚異の狩りを行う魚。マトウダイ目マトウダイ科マトウダイです。
西日本のマトウダイ釣り場といえば昔から島根県浜田の波止、愛媛県三崎の波止が両横綱でしょう。私も何度か行こうかと思いましたが、グレ釣りの時期と被るし、いっそ掛け持ちでとなるとなかなかしんどい。
そんなこんなでなかなか手が出せなかったこの魚を実績充分なイカダの上から狙えることになったわけですが、実際に狙うのはもうちょっとだけ先の話。渡船屋に注文した餌の活きアジが8時ごろにならないと届かないのでは仕方ありません。
餌が来るまでテンビンズボ釣りで遊んでおきましょう。
幻波0号というメバル・マゴチ竿に中通しパイプテンビンを付け、小ぶりなバネ付きカゴに昨日の残りの撒き餌を詰めて投入。仕掛けはドンドンドンドン落ちていって30m近くまでいってストップ。さあチャリコでもカワハギでもなんでも来い!間違ってロクマルのチヌでも来れば大歓迎!もちろんエサになりそうな10cmくらいの元気な魚なんて熱烈歓迎です!!
しばらく打ち返しをしていると穂先がグググと入っていって何かがヒット。味噌汁サイズのガシラですな。
その後、同じようなアタリがきてハリ掛かしなかったので、その次のアタリでじっくり待ってみたら根に潜られてアウト。あとはサシエのオキアミ生を盗られ、ボイルを齧られるだけでヒットなし。
餌も釣れん、これは困ったと頭を抱えていると渡船が近づいてきました。待望の活きアジ17匹(なぜか17匹が最低単位)を活かしバケツごと受け取り、いよいよノマセ釣りのスタートです!
・降臨!
チョイ投げキス竿・コルトスナイパー1000MにPE2号、フロロ4号の先糸にオモリ10号、ハリス3号の1本バリ捨てオモリ仕掛けはアジが届く前に組み上がっていますので、準備は尻手ロープを結んでチヌバリ7号を活きアジの背中に刺すだけで完了、もちろんすぐに投入です。
30m近い底まで落ちたら少しだけ底を切ってあとは待つだけ。高知南西部の波止でマトウダイを仕留めた方の記事を読むと底にこだわりすぎる必要はなさそうにも思えますが、初めてですしとりあえずこれでいってみましょう。
時折アジに引かれてフワフワと動く穂先を見ながら待ちます。相変わらず釣れないテンビン仕掛けを打ち返しながら待ちます。
すると9時前になってコルトスナイパーの穂先がゴンゴンと激しく動きはじめたかと思うと、程なく緩々に設定していたドラグが勢いよく滑り出しました。私は大きく突っ込んでいくロッドとリールのスプールを押さえてすかさずアワセ!よっしゃ!掛ったぁ!!
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名前の由来は的のような眼状紋?この馬頭? |
相手は獰猛なフィッシュイーター。ここから壮絶なやり取りが始まるかと思えば、魚が暴れている感触はあるけどほとんど引きません。でも今回ばかりはそんな反応こそが至福の時。ほら、案の定、派手な背鰭とトレードマークの巨大な眼状紋が見えてきましたよ。
水面に浮かせた途端に頭を振って暴れはじめた魚をイカダの上へ。やりました!口を縮めた状態で38cmのゼウス・ファベル、本命魚マトウダイ仕留めたり!
いやあ、見れば見るほど変わった魚ですわぁ。本に書いていた「結構うるさい」というのも納得の鳴き声ですし^^
・感動を呼ぶ魚
マトウダイを〆てしまえばイカダの上はやけに静か。あれっ、借り物のエアーポンプが止まっとるやないか!
アジバケツを開けるとアジが腹を返していました。私は大慌てで水を替え、エアーポンプを開けて持ってきていた電池を入れ直すとともに、自前のポンプも投入。幸いなことにあがってしまったアジは1匹だけで、その他はどうにか復活してくれました。やれやれ。
新しいアジを投入するも、連発でアタリが出ることはありませんでした。マトウダイはあまり群れを作らない魚だそうですから、次のがやって来るまで幻波の方に集中しときましょう。フィッシュイーターがいなくなれば何かしら食ってくるかもしれないし・・・。
まあ最後までパッとしませんでしたけどね。ガシラが最初のと合わせて2匹、12cmのヨコスジイシモチが1匹。
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ヨコスジイシモチに感動するとは! |
ヨコスジイシモチは、磯釣りではアカジャコとか金魚などと呼ばれるネンブツダイとか、播磨灘でネブトやイシモチと呼ばれて食材として珍重されるテンジクダイとかと同じテンジクダイ科の魚。上がってきたときは生餌に使えるんじゃないかとも思いましたが、水圧の変化で瀕死状態だったので程なくクーラーボックスへ。そして翌日、私はこの魚に感動させられることになります。(詳細は「おさかな拾い食い」をご覧ください。)
・走り出す本命竿
一方、本命のノマセ釣りの方は10時過ぎに再び穂先が暴れはじめ、ドラグが何度かに分けてチリチリと滑っていきました。
この時私はテンビンズボの投入中。着底まであと少しなのになかなか落ちていかない仕掛けをイライラしながら見つめていました。ノマセの方は緩々のドラグも作動しているし、尻手もあるから大丈夫だろう。しっかり飲ませた方がいいだろうと思いながら。
よし、やっと着いた!と幻波を放り出すようにロッドホルダーに預けた時、コルトスナイパーの方はドラグなんて関係なしに海に向かって走り出し、その体の半分までを海面に突っ込んで逆立ちしていました。私は慌ててロッドを捕まえて海上に引き戻し、その勢いで反撃開始!と思いきや、3号のハリスはその時すでに中央から真っ二つにされてしまっていました。
やってしまった。そんな状況で釣れるはずもないテンビンズボなんて途中で放っておけばよかった。
激しい後悔の中で新たなハリスを結び、次のアジを送り込んでみますが、さすがに続けて食ってくることなんてありませんでした。
・雨とプレデター
このバラシの後、不安を呼び起こすような嫌な風が吹きはじめ、ついに雨がポツポツと落ち始めました。
雨脚は見る間に強まっていき、激しいとまではいかないものの、しっかりとした調子で降り続くことになってしまいました。風は北東からだったので北面での竿出しは辛くなり、西面に移動して壊れて修理中のイカダの残骸との間を釣ることにしました。
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吹き降りになってからは壊れたイカダとの間に移動。
沖は御荘湾口「銚子の口」。 |
すると、ノマセ釣りの竿の挙動が変。ドラグを締めて聞き合わせをしてみるとグググーと独特の重たい感触がします。
この感触はどう考えても魚ではありませんので、リーリングスピードを替えないように気を付けてゆっくりゆっくり引き上げてきます。が、見えてくるまであと少しというところでポロッと外れ、頭の無いアジだけが上がってきました。
すぐにアジを取り換えて再投入すると底まで行く前にまたヒット。じっくり食わせてゆっくり上げると今度は水面まで浮上してきました。食べごたえ充分の見事なアオリイカです。しっかりアジを抱え込んでいるのを見てこれはもらった!とタモを取りますが、残念ながらジェット噴射で逃亡です。
この後は何をやってもアオリイカばかり。タモ網でどつこうが、墨を吐いて逃亡しようが何度でも何度でもアジに襲い掛かって食い殺していってしまいますが、どうしてもタモにだけは入りません。傘バリを追加しても掛かってくれません。
このあまりにも執拗であまりにも獰猛で、腹が立つほど行儀悪くアジを食う生物がいる限りはマトウダイを狙うことなんて不可能ですから、私は大嫌いなこの生物を殺害して切り刻んで醤油に沈めて胃袋送りにすることに全力を注ぐしかありませんでした。
そしてとうとう傘バリをその足に食い込ませることに成功したのですが、猛烈にジェット噴射して身をちぎって逃げていって今度ばかりは帰ってくることはありませんでした。やれやれ、やっと追い払ったぞ・・・。あいつのせいでいったい何匹のアジを殺されたやら。
アオリイカがいなくなって平和が戻り、マトウダイや小魚が食ってくるようになったかというと答えは否でした。迎えをお願いしていた15時まで、雨に震えながらイカダのあちこちにアジを落とし、泳がせてみましたがアジは元気に泳ぎ回っただけ。
結局この日はガシラ2つ、ヨコスジイシモチ1つ、マトウダイ1つで終了。渡船屋の方は「シーズンにはちょっと早いのか、最近全然釣れてなかったマトウダイを狙って釣ってくるとは」とちょっと驚いていました。ビギナーズラックなのか、いわゆる孔明の罠なのか・・・。
・惚れた!
旨い旨いとは聞いているマトウダイはいったいどんな味なのか。逸る気持ちを押さえて津島の温泉の休憩室で一眠りしてから高速へ。そこから石鎚SAまでは順調でしたが、坂出まではまた断続的な霧で視界が悪くなると即座に問答無用の眠気が襲ってくる状況です。これでは危険すぎるので途中下車して瀬戸大橋以外は精神的に楽な下道を走り、ゆっくり時間をかけて無事に帰宅。濃霧はもうご免だぁ。
さて、料理の方ですが、イサギとグレの一部は刺身、ヨコスジイシモチは使い残しのアジと一緒にカラッと揚げて南蛮漬け、カワハギとガシラ、残りのグレは日を改めて煮付け。マトウダイはもちろん、綺麗な白身ととでっかくてしっかりした肝は刺身にし、胃袋や卵はアラと一緒に潮汁で味わいました。
マトウダイの刺身はすっきりとした旨みと甘みが心地よく、箸が止まらずいくらでも食べてしまう素晴らしさ。肝と絡めても確かに旨かったけど、それぞれの持ち味を個別にじっくり味わい尽くすのが私の好み。
潮汁の方はさらに驚きでしたね。他の魚の出汁とは全く違う旨み。何なんだ!この力強さと穏やかさが同居するほっこりするような甘みは!
この日をもって私はマトウダイという魚に惚れてしまったようです。またこの魚を釣りたくて食べたくて仕方なくなっています。
引きはサッパリなんですけどね〜(笑)
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