風雲児  烈風伝
      ・平成29年初釣り。 雨の中、持病再発!?

2017年 1月7〜8日 高知県 伊田&宿毛湾(宇須々木)
・初釣り、唯一のチャンス
 九州から帰ってまだ一週間も経たない1月7〜9日の三連休。これを逃したら初釣りが2月末なんてことになりかねない状況なので行くしかないのですが、8日は土佐沖低気圧で雨、9日は風の予報ですか・・・。ならば落ち日和で凪予報の7日に一日だけ竿出しして、一泊してからのんびり帰ってこよう。当初はそんな予定でした。

 今回は日程は迷いようがなかった代わりに行先には本当に迷いました。
 シーズン真っ只中の連休だけに混雑が予想されるので、マイナーどころの情報ばかりを集めてみても40オーバーのグレの情報が出るわ出るわ。良型口太と最大で57cmのチヌの両方が当たっている泊浦も面白そうだし、時間の融通が利き日没までやれるのが魅力の宿毛湾でも45cmの口太が!去年行った下川口や樫ノ浦にも再挑戦してみたいし、未だ未踏の古満目もなかなか面白そう。
 でもまあ一応ホームグラウンドの情報も聞いておくか・・・。そう思って出発日の昼休みに「灘&伊田」の掛川渡船に電話を一本入れたのが間違いの始まりだったのかもしれません(汗)

 「釣れてるよ。昨日はセイダで13枚、他のハエでもぼつぼつ釣ってる。灘やセイダバエで尾長も出てるよ。明日の予約はセイダだけ。イチノハエかセトの大バエに行ってみる?」
 
 この「尾長も出てるよ」という言葉にやられてしまったんですな。
 尾長といってもこの場所では普通は30cm台前半で、35cmを超えたらラッキー。45cmクラスが食い盛った年もあるけど、そんなのに当たった人は余程の聖人か極悪人かというようなものなんですけどね。(あくまでも私感です。)今、釣りたいんですよね〜、35cmの尾長。去年は離島遠征ですら釣れなかったし、離島以外じゃ3年近く釣ってないもんなあ。
 でも、弱いとはいえ東系の風予報なんだから、先に挙げた場所から選んどくのが無難だったなあ。

 いつものセイダバエ
・やっぱり大荒れ
 やはり東系の風予報でした。昼休み時点での第一希望は灘のイチノハエでしたが、夕方の時点で「伊田にした方が無難かも」、当日朝には「灘は大波で無理」ということになりました。東というより東南東の波になったのか、変更して予約した伊田のセトの大バエも「一番船で見てくるけど多分無理」ということになり、結局「週に1回必ず来る常連さん」3人組が上がるセイダバエに混ぜてもらうしかありませんでした。

 船長に言われるまでもなく、無理を言って混ぜてもらっている私にポイント選択の優先権はありませんので、3人が船着きと南側の底物場周辺で竿を出すのをマキエや道具の準備をしながら待って、東向きに入りました。

 この東向きはこれまで何度か試したことはあるけど、沖は砂地だし、オヤビッチャが集まるばかりでグレが釣れたことはありません。といより長時間じっくり攻めたことなんて無いし、攻めようと思ったことも無かったもんなあ。
 でも今日はうねりの影響で右側のハエ根と左側の干出し岩の間に程よいサラシができて、なかなか面白そうではあります。まあこのスペースでの取り込みは少々辛そうでもありますが。

・渋い!
 Bの仕掛けとマキエをサラシの切れ目に打ち込んでスタートです。
 あれま、グレは見えないしエサトリもいませんなあ。サシエもそのまま帰ってくるではありませんか。どうした?そんな季節にはまだ早いんじゃないのか?と言いたくなる状況は船着きや南向きのポイントも同じのようです。

 2時間くらい経つと帰ってくるサシエに時々痕跡が残ってくるようになりました。生やV9オキアミの頭が取られたり、ちょっと吸われていたり、殻だけになっていたり。まあ好転ではあるのでアタリが出るように手を打っていきましょう。しかし海面が不安定なのでウキ下を微調整する程度ではどうにもなりませんねえ。

 どうしたらいいものか・・・。寝不足の頭を悩ませていると、突然船着きの方で大きな音がしました。
 振り向くと常連さんのDXRが真ん中から真っ二つになっているではありませんか。そしてタモの中には35cmくらいのグレ。横着して引き抜こうとしたら折れたそうです。

・ようやく!
 セイダバエの南面(底物場)
 グレはいるぞ!
 竿を折った方を除く3人のテンションは急上昇しましたが、なかなか形になってくれず迷走の末にまたまた元の低さに戻っていきました。

 10時半ごろ、私のウキはG5になっていました。1.5ヒロの位置にウキ止めを付け、仕掛けの中ほどに3号のガン玉を打って探っていると、水面下を漂っていたウキが干出し岩の際で一気に消えていきました。反射的に立てた竿は一瞬大きな弧を描きましたが、次の瞬間にはシモリに触れて高切れ。な、なんだ?セイダバエ名物の錦鯉みたいなキバンドウが動き出したのか??

 とりあえず答えは出た。回収したウキを再セットし、潮や波に合わせてガン玉を2号〜5号まで付け替え付けながら、サラシの切れ目やシモリの際、沖などを攻めていくと、30分ほど後に同じようなアタリでまたバラシ。あまりにも貴重すぎるアタリに何をやっているんだと自分に腹が立ってきます。

 そして11時20分ごろ、沖でウキを沈めながらよそ見をしていると、竿が強引に引っ手繰られました。
 思い切り不意を突かれたといっても今回は沖でのヒットなので余裕があります。力強い引きを凌ぎ、竿先を水中に突っ込んでシモリへの突入を阻止して浮かせたのは本命のグレ!暴れる水面でタモに入れて磯の上に引き上げると、常連さんから「おおっ!」という声が上がりました。
 メジャーを当てると41cm、見事な口太グレです。新年初の魚がこのサイズのグレというのは久しぶりだ!高確率でアカササノハベラになのになあ(笑)

・餌鳥ふたたび
 その後、さらに1回高切れをやらかしてからはサシエが触られることすらほとんど無くなってしまいました。あっ、でも元気なエサトリが1種類いるな・・・。
 セイダバエ周辺で一番元気な生物、それは大量のウミネコです。それらは海上と海面に群れ、南向きの常連さんが撒くボイルオキアミを鷲掴みにするだけでなく、生と集魚剤の私のマキエやウキの周辺にも集まってうっとおしいほどアタックしてきます。
 しかも今日のウミネコは図々しさ全開。バッカンから5mも離れたらすかさず舞い降りてきて、バッカンに首を突っ込んでバクバクと食っていくのにはもう呆れてしまいましたよ。学生時代にコイ釣りのマキエのパンくずを散歩中の犬にバカ食いされて以来のことですわ〜。(マキエを喰らった犬は直後に飼い主の大目玉もくらってましたが・・・。)

 そんなウミネコが釣れてこないはずがなく、底物場の西に入った方が1羽釣り、私も1羽、飛行中の仕掛けに翼を絡めたやつを取り込んで、首根っこを掴んで糸をほどかされる目に遭いました。まったく、変なインフルエンザとか持ってないだろうな!

 その後、南側の二人が口太を各1枚釣ったけど、この日はそれでタイムアップです。

 一昨日の大釣りから一転、4人で口太4枚、ウミネコ2羽、その他外道一切無しという釣果で終わってしまおうとは。
 そんな中で41cmを引き出せたのは嬉しいけど、たった4回のアタリを1回しかものにできなかった悔しさの方が大きい1日となってしまいました。

 ● 伊田 ida
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・伊田漁港
時間(当日) 7:00〜15:00
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯の予約可
磯替わり 基本的に無し 特記事項 灘エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・雨の宿毛湾へ
 7日夜は宿毛の「だいきち」さん宅にお世話になり、だいきちさんご夫婦や子どもさん達と楽しい時間を過ごし、ゆっくりと休んで体力全快。さあ2日目の釣りの舞台、宿毛湾に出発だ!

 沖を低気圧が通過中で結構強い雨が降っています。でもこの雨は朝のうちに止んで晴れてくるという予報です。沖の島と鵜来は普通に出ていたけど、東に開けたようなところは釣りどころではないでしょうね。でも宿毛湾なら大丈夫なはず。
 やはり竿が出せる所があるのに帰ってしまうのはもったいないですもんね。いくらこの日は釣りをせずに土佐市と高知市の毛利勝永(吉政)ゆかりの地でも巡ってゆっくり帰ろうなんて思っていたとしても。

 5年ぶりとなる宿毛湾の磯。以前お世話になった藻津(むくず)のフィッシング和竜の船長が体調を崩されているというので、今回は藻津の一つ東の集落である宇須々木(うすすき)の西田渡船を利用しました。
 その西田渡船は旧海軍の基地があったという宇須々木の半島の先端中央部、ポケットビーチの前にあります。半島に入ってからの道は細く入り組んでいますが、随所に看板が置いてあるので無事に辿り着くことができました。

・二番船で出発
 前半戦の磯。向かいは咸陽島本島。
 雨に霞んでいるのは大藤島(おとうしま)
 チヌ釣りではすっかり有名になった宿毛湾。この日も福山ナンバーと高知ナンバーのグループ計5人が来られており、乗船名簿を書いていると千葉県の方もおられるようです。
 午前7時、この5人が一番船で愛媛県の黒崎鼻方面へ出発。私は待合室で寝転んだり、マキエに水を加えて整えたりしながら帰りを待ち、7時半ごろに港を出ました。

 船長によると宿毛湾にはグレ釣りポイントも多く、とにかく気軽に数を釣りたい人向けの場所、チヌとグレを一緒に狙いたい人向けの場所、そして我慢の釣りになるが1日やれば1〜2回、40オーバーが当たってくる場所など、好みに応じて色々対応できるそうです。
 しかしこの日は一発大物場は埋まっているし、天気の関係で使える磯が限られるとのこと。なんでも「低気圧は早いうちに通り過ぎ、雨が上がるや磯にいられないほどの北風が吹く」と最新の天気予報が言っているそうなんです。ほんまかな・・・。

・咸陽島
 「ここは40オーバーは無理ですが30オーバーなら釣れますよ。午前中の早い時間に来て港の近くの風裏に移るので、それまでに大きいのを釣っておいてくださいね。」
 船長がそういって渡してくれたのは、片島港の入り口の東側に浮かぶ景勝地「咸陽島(かんようとう)」。干潮時には大島とつながるこの島の南側にある離れ磯が前半戦のステージです。

 足元は浅く、底はゴロ石。それが沖へ沖へと続いています。潮は澄み切ってどこの離島かというほど透明度が凄いです。・・・って、これ、船長が言ってた最悪の潮かも。

 足元にマキエを入れるとネンブツダイかクロホシイシモチの大群が現れましたが、その動きは非常に悪く、これではエサトリにすらなりそうにありません。とりあえず0号のウキに7号のガン玉を打ったものを10mほど先に入れてみると1投目からアカササノハベラが掛かり、数投目からは手のひらのコッパグレがパラパラと釣れてきましたが、やはり大きいのはいませんね。

 ここは沖に点在する大きなシモリを狙うか、駆け上がりを狙って遠投するしかないか。
 ところが困ったことに雨の影響でウキが全然見えません。遠投どころか少し投げただけでもダメです。
 本当は00のウキを使いたいけど見えないのでは非常に釣りづらいし、そもそもグレが水面近くまで出てくるような状況ではないので、目の悪い釣り師の味方、G2の棒ウキに頼ってタナを決めて釣っていきました。
 そして8時23分に左側のシモリの向こうから27cmの口太グレを引き出すことに成功。やれやれ。

・渋い!!
 昨日に続いて渋い状況です。
 生のオキアミは中身を吸われて殻だけになるし、ボイルではアタリが出ても全く食い込んでくれません。釣りはじめに見かけたコッパグレもいつの間にか消え、クサフグとキタマクラがウロウロするくらいになってしまいました。
 そんな中、アカササノハベラとともに元気がいいのはブダイ類。シモリ狙いでウキが沈み、ベラとは違う引きに期待したら上がってくるのはこの魚。35cmくらいのヒブダイが3つ、ブダイが1つ掛ってきました。

 10時24分にシモリの際でウキが沈み、一際引きの強い魚が掛った時も「どうせヒブダイだろう。」と思ったけど、寄ってきたのは29cmの口太グレでした。このポイントでの目標サイズには少し足りないけど、この状況なら上出来かも。
 北向き。大島まで歩いて行ける海の道。
 その奥には九州から一番近い渡船基地・片島港。
 東向き。宿毛湾に注ぐ松田川の河口があります。

・無名磯(宇須々木の水道)
 後半戦のポイント。桐島との水道には
養殖イカダが点在。
 桐島にもいいポイントがあるらしい。
 防波堤の向こうの小島がさっきまでいた咸陽島
 二日間の釣果。初日によく釣っていたものだ。
 断続的に降り続く雨がまた激しさを増し、風も北に変わった11時半、やってきた渡船に乗り込んで港の近くへ戻ってきました。ただこの雨の中の移動でパンツまでびしょびしょだぁ・・・。

 後半戦のポイントは宇須々木の半島の南西端の地磯です。船長に聞くと磯の名前は特に決まっていないそうで、桐島との水道に位置しているのでとりあえず「水道」と言っているとのこと。

 「ここはコッパの数釣り場ですが、この前は40cmも釣れましたし、チヌも出ますよ。コッパを躱して沖を釣ってみてください。」
 
 磯の右半分はゴロタ、左半分はシモリというか、ハエ根の延長みたいな地形です。迎えを15時に頼んでいて時間もあまりないので足元のゴロタ場にバンバン撒き餌を打ち、沖のポイントにもマキエを打っておいてからG2の円錐ウキの仕掛けを作って遠投。
 足元にはやはり小さなネンブツダイ類がいますが、やっぱりその動きは鈍く、なんぼでも釣れるはずのコッパグレの姿も全く見当たりません。遠投したウキは雨に遮られて行方不明・・・と思っていたらロッドがググッと曲がっていって、一投目からアカササノハベラが上がってきました。

 円錐ウキで立体的に探りたい気がしますが、やはり全く見えないとやりづらくて仕方ありません。仕方ないので棒ウキに戻して深ダナメインで狙っていきますが、サシエは基本的には盗られることもなく、たまにアタリがあったと思えばそれは全てアカササノハベラ。ハリケースがみるみる寂しくなっていきます。

 結局15時の納竿までベラのみで、1匹のコッパグレすら見ることはありませんでした。
 船長曰く、この日はグレ釣り全滅、港の出口のコッパの巣に移動してきていた1番船の2人組をずっと見ていたが竿は全然曲がってないとのことでした。
 年末の枕崎以来、私の「いよまくり病」が再発してしまったようですね。(土佐清水市下川口では釣りに行くと釣れていた魚が不思議といなくなる人のことを「魚(いよ)まくり」と言うんだそうな。)

 しかしこの日は私も船長も天気予報には騙されましたねえ。
 磯に居られないくらいの北風なんて結局吹きもしませんでしたし、すぐ上がるはずの雨も何度も雨脚を強めながら納竿の15分前まで振り続きました。
 おかげで手がふやけにふやけ、ラインでズタズタに切り裂かれて痛い痛い。道糸とハリスを結ぶ時、ハリを締める時、ベラに飲まれたハリを引っ張り出そうとする時、まあ面白いくらい簡単に切れてしまいますなあ。
 それに、たくぼんさんと鵜来に行ったときにみちひでさんに売ってもらった冬用のカッパがもうダメだ。(お二人もまさかあれがまだ現役だとは思いもしないだろうなあ^^)
 最近雨の釣行が多くなってきたし、そろそろ潮時、買い替え時か・・・。そんなことを思いつつ、立ち寄り湯を目指して震えながら走る、初釣りの帰り道でした。


 ● 宿 毛 湾 sukumowan
利用渡船 西田渡船 出港地 高知県宿毛市 宇須々木の専用突堤
時間(当日) 7:30〜15:00
(日没まで可)
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 仮眠所あり システム 特になし
磯替わり 可能 特記事項
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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