風雲児  烈風伝
・令和元年10月 奄美大島遠征! 雨にも負けず魚種チャレンジ(後編)

釣行記(前編) 釣行記(後編) 魚の写真(前編) 魚の写真(後編)

2019年 10月22日〜25日 鹿児島県奄美大島
10月24日(釣行三日目)
・名瀬まで行ってみることに
 うがみんしょーらん!(こんにちは!)
 奄美遠征も折り返し、というよりまともに釣りができる最後の一日となってしまいました。

 この日は5時半ごろに起床して日の出前の6時ごろに宿を出発。目標の40目達成のためにもまずは一区切りとなる30目を目指したいところですが、ここまでの状況を見ていると龍郷だけでは何となくヤバそうですので、近くのファミリーマートで朝食を仕入れて名瀬方面へ出張。今日はようやく晴れのスタートだ!

 ということでこの日最初のポイントは名瀬港内の岸壁。そこにハゲバリ1号の胴突き3本バリ仕掛けを落とし込んでみますがアタリは意外と遠く、何投かしてようやくモンツキスズメダイがヒットしたものの、その後もアタリが出ずに根掛かりでアウト。
 そんな調子なので外向きはさっさと見切って、波止に囲まれた奥まったポイントに狙いを変更。足元は魚巣ブロックみたいになっているし、工事現場に近くて人も入りづらそうです。
 早朝の名瀬港と名瀬市街地。朝方はよく晴れてました。

ハナナガモチノウオ
ヒレナガスズメダイ
カンモンハタ
大きな画像は
  こちらでどうぞ!
 7時20分ごろに最初の仕掛けを落としてみると着底直後に大きくロッドが引き込まれました。壁から引きはがすようにして一気に巻き上げてくると、姿を現したのは20cmほどの赤っぽいベラ。おおっ、せめて一種は釣っておきたかったモチノウオ類!ホホスジモチノウオ属のハナナガモチノウオではありませんか!

 開始直後はとにかくアタリが多く、落とせば必ず何らかの反応がありました。ハリ掛かりに至らないのが大半ですが、20分経たない間にモンツキスズメダイ数枚、新着のヒレナガスズメダイ、昨日と違って色が濃く、ネッタイスズメダイが来たかとぬか喜びさせられたニセネッタイスズメダイが掛かり、ハナナガモチノウオの追加もありました。

 ただ釣っていく中で感じたのは胴突き3本バリ仕掛けの手返し、効率の悪さでした。ハリが3本あっても結局一番下のハリの一発勝負になることが多いので、エサを付ける手間を省くことを考えて3号の丸玉オモリを使った一本バリの仕掛けに変更し、ハリもハゲバリだけでなく飲ませ系のグレバリ4号なども使用。これで壁際を探り歩いていくと釣れてくる魚が少し大きくなりました。
 8時2分には奄美でネバリ、沖縄でイシミーバイなどと呼ばれる南国の代表的なハタ、25cmほどのカンモンハタがヒット。8時12分にはこのポイントでは一番の力で粘り強く抵抗する魚がヒットしました。水面に浮いてきたのは鮮やかな黄色と白と黒のド派手な魚。火吹き竹をくわえたようなその魚は、釣れるなんて想像もしていなかったヒフキアイゴ27cmです。美しい魚ですがアイゴなので絶賛武装中!ハリ外しは慎重に、慎重に。

 さらに次の1投でもまたド派手な真っ黄色の魚。一瞬ヒフキアイゴ連発かとも思ったけど、これは他の魚とは間違いようもないギチベラでした。特徴的なのは何といってもおそらくマトウダイよりも長く伸びる顎。この顎を使って小魚を遠距離から不意打ちするのでしょう、学名もEpibulus insidiator(陰謀を企む/伏兵)という剣呑なものになっています。それにしてもこの個体の鮮やかすぎる黄色には驚かされました。体色の変異が著しいとはいえ、茶色や黒っぽいことが多いようなのですが・・・。

 8時27分に3匹目のハナナガモチノウオが釣れてからはエサも取られなくなってしまったので小移動、反対側の角でオジサンやモンツキスズメダイ、仕掛けの回収中に飛び付いてきたマダラエソを追加。水面直下を泳いでいた大きなツバメウオが掛かってくれたら面白かったんですが、探りの仕掛けではどうやっても興味を持ってもらえませんでした。
ヒフキアイゴ ギチベラ オジサン マダラエソ

・念願の魚!
 完全にアタリの止まった最初のポイントで結局9時半ごろまでダラダラしてしまったけど、まだまだ行きたいところが山ほどあるのでさすがに出発。龍郷に戻って秋名川でも目指そうかと思ったのですが、途中で渡った浦上川がいい感じで、ここで釣れたら秋名まで走る必要なくなるやん!と思って途中下車。
 川は雨の影響なのか水量が多くて流れも速く、それでいて水はよく澄んでいます。玉砂利の早瀬にはボラ類と目的の小魚が目視でき、試しにオキアミを数匹投げてみると少し流れて姿を消しました。やった!やった!と心で叫びながら渓流竿にウキ釣り仕掛けを結び、流れの巻き返しを入り口としてサシエ先行で流し込んでいきますがアタリは無く、魚の姿も消えてしまいました。サシエを昨日活躍した練り餌に換えても状況は同じ。
 それなら足で勝負!と人目も気にせず川沿いをテクテク。大回りして対岸に出、瀬の開きにやってきました。ガードレールの先の護岸には植物が生い茂って操作がしにくい分、こちらの姿も隠すことができます。
 早速オキアミを流し込みますがうまくいきません。移動しながら何度か試すうちに玉ウキが足を引っ張っていることが気になりだしたのでウキゴムから抜き、G7のオモリのみの仕掛けにして底に入れ、時折道糸にテンションをかけてスーッ、スーッと川底を転がすようにして攻めていきました。するとその2投目、流れていく白いオキアミがおよそ11cmの魚の口の中に納まるのが見えたので一気に抜き上げ!ユゴイです。ほとんどの人にとっては名前も知らぬ取るに足らない魚なんでしょうけど、何年も何年も、追いかけても追いかけてもこの魚に手が届かなかった私にとってはこれは大金星。今夜は祝勝会だ!!
ユゴイ

・セナスジベラに会いたくて
ヤマブキベラ
ダンダラトラギス
トゲチョウチョウウオ
 目標はクリアしたので秋名への遠征は中止。その代わりにやってきたのは小物釣りの世界では名高い、龍郷町の加世間(かしけん)という港。サンゴ混じりの砂浜に伸びた2本の比較的小さな波止の東側には先行者がいたので西側に入って内向きで釣りを開始。
 砂地であるこの場所で期待したのはベラの仲間。ベラ科の魚はとりあえず3種釣ったとはいえ、せっかくベラ・ブダイ専門の写真ガイドを買って勉強してきたのだからザ・ベラと呼べるようなものも釣っておきたいところ。なんて願っていたら、意外なほどに浅い海底に落とした胴突き仕掛けに本土でも普通に見られる8cmほどのヤマブキベラが食ってきました。
 1匹目は嬉しかったんですけどね〜。アタリはまばらなのに掛かってくるのがこればかりではかなり辛い・・・。段ボール箱にマキエを入れてやってきて、釣りを始められた地元の方も、「普段は魚種もアタリも多いのに今日はよくない」と嘆かれてました。
 内向きまで時化の影響でかき回されていたのが悪かったのか、結局ベラはヤマブキベラだけでした。それでも10cmのダンダラトラギスと、20cmオーバーのトゲチョウチョウウオが釣れたのはラッキーでした。でも釣りたかったなあ、美麗普通種セナスジベラ・・・。

 気づけばもう正午です。ここで粘っても先が見えないし、腹も減ったので移動。道端のアダンの実やリュウキュウアサギマダラ、シロオビアゲハ、リュウキュウミスジなどに眼を楽しませてもらいつつ車に戻り、龍郷方面を目指しました。おっ、車窓から見える白い羽の先端を鮮やかなオレンジで彩ったあの大きな蝶はシロチョウ科では世界最大級のツマベニチョウだ!などと一人興奮しながらの運転で。
 龍郷方面に戻るとなったら昼食はやはり国道沿いにある「ひさ倉」でしょう。再びの鶏飯に満腹・満足して午後の部の舞台に向かいました。
 当日の加世間港。外海は時化ていました。  アダンの実。食べられないらしい。
 翌日の加世間港。こちら側の波止で釣りました。  晴れていたらこの美しさ。

・龍郷湾を転戦
 午後の部は龍郷湾の湾口に近い大きな突堤・龍郷港。ここは工事現場か資材置き場かになっていましたが、湾奥向きの真ん中くらいまでは入ることができました。宿の親父さんの話によるとロウニンアジやタマン(ハマフエフキ)などの巨魚釣りさえも可能な車横付け釣り場とのことでしたが、かなり沖にいるはずなのに足元はめちゃくちゃ浅い!しかもアタリが全然無い!それに風もかなり強い!と、すぐに見切りをつけて再出発。少しだけ湾内にある港に立ち寄りました。

ミナミイソスズメダイ
ナガサキスズメダイ
 西郷南洲流謫(るたく)跡や、愛加那の墓の近くにある龍郷漁港(と認識している港)の奥の岸壁は、鰓蓋の上側に黒点のある地味なミナミイソスズメダイの巣窟でした。いくら釣ってもこればかりで、他にはオジサンが辛うじて1匹釣れただけでした。波止の方に行ってみても何の魚も居ない中間地点以外は何も変わりませんでした。ただ一度、今回の釣行では不思議と1枚も釣れていないニザダイ科の魚が食い付く場面がありましたが、すぐに外れてしまってまた続行、ミナミイソスズメダイタイム。
 ここでは魚種を伸ばすのは無理と判断してまた移動。ああ、また天気が怪しくなってきた・・・。

 次のポイントはまたまたやってきた番屋漁港です。(レンタカーのカーナビにはこう記してあったけど、こっちが龍郷漁港なのかもしれません。)
 初日は探り釣りでしたが、今度は胴突きで攻略!ところがどこを探ってもアタリはありませんしエサも取られません。たった1回のアタリはナガサキスズメダイ。四国南西部ではこの魚がいる限り他の魚は釣れないという魚種チャレンジの天敵ですが、この魚1匹しか釣れないなんて・・・。この港、やっぱりアカンのと違うか・・・。

 こうして龍郷湾での釣りに絶望したところにまたしても雨が降り注いできました。よし、今日も雨の有効活用、移動だ移動!
 龍郷港からの龍郷湾。(湾奥方向)大苦戦。

・マキエを撒いたらえらいことに
 薄日と小雨がせわしなく交錯する奄美市笠利町喜瀬の海は一面の砂地。その一角に作られた喜瀬漁港に挑むにあたり、この遠征で初めての物を2つ投入しました。一つは初日に買ったままクーラーの中で忘れ去られていたオキアミブロック。もう一つはこれまでの魚種チャレンジでも「投入できるのは竿1本のみ」というルールを課して使用を禁じ続けてきた2本目の竿です。

 空撮ガイドでこの港の周辺を見ると、目に飛び込んでくるのは各所に書かれた「キス」の文字。キスといってもSillago japonica(シロギス)ではなく、死後に浮き出てくる斑紋がトレードマークのSillago aeolus(ホシギス)です。かつて神とまで呼ばれた時化男としては、ギリシア神話の風の神「アイオロス」の名を持つこの魚はぜひ釣っておきたいもの。今は釣期とはかけ離れた時期のようでも釣れるのはハリを入れている時だけですから、かつてオホーツク海・紋別でも使ったことのある父の形見の船用ハンドキャストロッドに5号オモリの投げ釣り仕掛けを結んで内向きに投入。尻手ロープもくくって準備万端です。このために持ってきたパワーイソメが行方不明で、オキアミを付けるしかないのが心配ですが・・・。

 ここでもメインは胴突き釣り。それもオキアミをパラパラと撒きながらの釣りですが、波止の付け根の方では反応なし。それでも構わず釣りながら波止の先端を目指していると、中央付近で初のアタリがあり、18cmの丸っこいベラが上がってきました。イラ属としては比較的小型のクサビベラです。
クサビベラ

 その先はまたアタリの空白地帯が続き、とうとうやってきた先端手前、ここではとにかくエサが取られ続けました。サシエの種類や大きさ、刺し方などを変えてもダメですし、コココンッの最初のコでアワセてもダメ、どうやってもハリに掛かってくれません。時を止めるだとか消し飛ばすだとか、そんなような奇妙な技でも使っているのではないかと疑いたくなるこの魚の姿はオキアミを撒くことによって視認できるようになりました。もっとも見える前にハタタテダイであること察しはついていましたが。

 この先端手前に落としたオキアミのマキエにハタタテダイとオヤビッチャだけでなく、2匹の大型魚が浮いてきたのには驚かされました。1匹は50cmくらいのアイバンドのあるニザダイ科の魚、背面しか見えなかったもう1匹はコロダイ系なのかイスズミなのか、丸々とした黒褐色の60cmを超えていそうな魚でした。絶好のチャンスだったにもかかわらず、私はこれらの魚に気圧されて逃げ出してしまいました。「怖い」「こんなのシーバスロッドなんかで掛けたらただでは済まない」と。
 どうもこの時の私は2日に渡って小物ばかりを全力で追いかけてきた副作用で完全に小物釣り脳になっていたようです。正常だったなら波止の先端から車まで駆け戻り、使うことは無いだろうと思いながらもいざという時の切り札として持ってきていた大島4号50HRを握りしめて戻ってきていたでしょう。でもこの時の私は大型魚の出現ポイントを避けて小物で魚種を増やすことを選択しました。

 その甲斐あって軽いアタリと比較的細やかな抵抗があり、15cmほどの赤い魚が上がってきました。おおっ!これは「絶対釣っておきたかったリスト」の一員、メギスではありませんか!と言ったところでメギスなんてピンと来ないと思います。私にも「ベラでもなく、スズメダイでもなく、ゴンべでもなく、当然ながらキスでもない。体色や斑紋の変化が非常に大きい20cmほどの貪欲な魚で、琉球列島などでは普通に釣れる。メギス科には特異な形をした変わり種もいる。」くらいのことしか分かりません。でもそんな訳の分からなさに惹かれ、今日来るか、明日来るかと心待ちにしていた魚です。ああ、釣れてよかった。

 その後、このメギスを2匹追加。ハタタテダイも根性で2匹釣ることができました。そして北風吹きすさぶ最先端では新たに2種を追加。ありゃ、ここにもおったんや!と意外な所で知り合いに再会したような気がしたアカササノハベラと、いろんな所にいたのに掛かっていなかったオヤビッチャ。何か最後は妙にいつもの四国じみてきたところで予定の17時。そろそろ別の場所に行くとしますか。

 あ、そういえばホシギスを期待したチョイ投げの捨て竿がありましたけど、これが全く成果なし。上げても餌がそのまま帰ってくるか根掛かりしているかのどちらかで、港に突っ込んできたダイビング船に仕掛けごと持っていかれそうになって、大急ぎで巻き上げに走るという目に遭っただけでした。
メギス アカササノハベラ オヤビッチャ

・電気ウキのちルアー釣り
 そろそろ日没という時間に立ち寄ったのは名前もわからない小さな川の河口でした。
 これから暗くなっていくので電気ウキをセットして川の真ん中に投入。海からの風が強くてやりにくいけど、マキエを撒いて同調させる釣りでもないので気楽にやります。するとアタリは出ませんでしたがエサを取られることが2度ほどあったので、もう少ししたら面白くなるかも!と電気ウキを点灯させていると不意に大きな音が響きました。ボイルだ!ボイル!先程は小物にこだわり続けた私もこれには対応。シーバスロッド・アレスアニマSBに結んでいた電気ウキの仕掛けを切って手近にあったミノーを装着しました。

 ダダダダン!ダン!ダダダン! ダダダダン!ダン!ダダダン!

 「戦争をもたらす者」という名を持つロッドで力強い変拍子を刻み、あるいは弱々しく泳がせます。風の隙をついて様々な場所にルアーを送り込み、引いてきます。
 釣っている間にボイルは数回ありましたが、島でガラと呼ばれているらしいメッキも、ミナミクロダイも、オオクチユゴイも、そして最も期待していたゴマフエダイもアタックしてくることはありませんでした。
 残念ながらノーヒット。なかなかえらい風でした。

・ひとり祝勝会
 さて、そろそろ晩御飯を食べておかなきゃ!念願のユゴイを釣った今日はひとり祝勝会だ!ということで、今夜はめちゃくちゃ張り込んで、宿の近くにあった「大勝うなぎ」にやってきました。(勇気のいる決断でしたが断念したカヤックのレンタル料がこっちに来たと考えようか。)完全養殖の技術も確立できていないこんな時代にウナギなんて食べるべきではないとは思うんですけども、ここでしか食べられない伝統的な料理をどうしても味わっておきたくて、「みそ鰻定食」(2300円)を注文しました。
 しばらくすると店の奥から盛大な揚げ物の音が聞こえてきました。ん?うなぎ屋なのに揚げ物?いや違う、これは雨の音だ!外は唐突な土砂降りだ!!

 待つことしばし、ウナギとクワリ(ズイキ)を甘い麦味噌で煮た鍋が運ばれてきました。この料理は脂っこいオオウナギに合うのだそうですが、ウナギでやっても合わないはずがありません。旨い!!これは色んな魚で試してみたいなあ!
 奄美料理「みそ鰻」。店のHPより。

・晴れならばどれほどよかったでしょう
 店を出た時には雨は小降りになっており、ビッグUで飲み物の補充を済ませた時には上がってくれていました。では、今夜も夜釣りに行こうか。

 今夜のポイントは初日に入った龍郷湾奥のポイント。狙いはミナミクロダイです。
 というのも、喜瀬で大して大きくもないハタタテダイを中途半端にキープしてしまったけど、いくら美味しいといってもこれだけを家に持って帰ってもちょっと辛い。そこで手軽に2〜3匹確保できるものを釣っておこうと思い立ったわけです。
 目論見通り電気ウキはすぐに沈み、30分もしない間に30cm前後のミナミクロダイを3枚確保。このサイズですけど結構グイグイと引きまくってくれました。時期や個体差もあるんでしょうが、本土のクロダイより少し引きが強いような気がするなあ。

 目標は達成したのでここで帰ってもよかったけど、また強い雨が降り出して傍らの東屋に逃げ込んでしまったら出られない。雨が降り止むまでは帰〜れない。
 まあ雨自体は10分ほどで小降りになり、15分ほどで上がったので、あわよくばテンジクダイ科の魚でもあと何種か・・・と、ウキを放り込んでおき、その間に明日送る荷物の整理とパッキング、余ったエサの処分や洗い物などを済ませておきました。雨の後極端に食いの悪くなった釣りの方はエサを2度取られただけで、片付けの方がメインになっていましたが。

・深夜のイノシシパーティー
 ファミリーマートで氷を補充して21時半だったか22時だったかに宿に帰ると、これまでとは違って他のお客さんがいるようでした。
 親父さんに庭で焼き肉をやっているから一緒にどう?と誘われたので行ってみると、女子大生3人組と親父さんがリュウキュウイノシシを焼いていたのでちょっとだけご相伴。話をしたり、庭で放し飼いになっているウサギたちと戯れたりして楽しい時間を過ごさせてもらいました。

 23時ごろ解散して日付が変わる頃就寝。奄美滞在も眠っている時間込みで残り11時間余り。もう少し居られたらいいのになあ・・・。

10月25日(釣行最終日)
・最終日、アディショナルタイム??

 最終日は3時半に目が覚めました。天気は晴れ。この時間なら釣りに行くことは十分可能です。ここまでの2日半の釣獲魚種は41種、うち新着27種。釣れるはずだと計算していたニザダイ科もフグ、カワハギの仲間もハゼ類もクロサギ科もボラ科もアジ科も完全にゼロのままです。ロクセンスズメダイやクラカオスズメダイ、ヤマブキベラ以外のニシキベラ属やホンベラ属なんかもなぜ釣れていないのかわからない状況。ならば行くか!夜明けの短時間に魚種の追加を狙い、あわよくば旧播州赤穂藩領の住人らしくあの時のような四十七目釣りの達成を目指すか!高知釣行と違って帰り道の分の体力は考えなくていいし。

 ところがここでえらいことに気づいてしまいました。昨日、荷物の整理をしたときに未開封で残しておくつもりだった生イキ君の最後の半パックをうっかり処分してしまったことに。
 近隣の釣エサ店(というかビッグU)の開店時間は確か10時。ロッドケースを発送しに行く予定時刻は9時・・・。まあ、どっちにしろ咳が酷くて辛いし、体、特に左足と腰がこの2日半のハードでしんどい釣りに悲鳴を上げてますからねえ。(いつも思うけどこんな釣りをするんなら大物狙いの方がよっぽど楽ですわ!)時間は短いけど最終日くらいゆっくりするか。

・意外なほどに濃密で、贅沢な時間
 二度寝して再び起きたのは5時半ごろ。それから6時くらいまで、網戸の向こうから聞こえる音の移ろいを楽しんでいました。相変わらずのリュウキュウコノハズクの声にちょっと不気味な感じの鳥の声が混じるようになり、やがて「キョロン、ピュルンピー」というような短いながら美しい声に取って代わられました。これは奄美大島だけに生息する国指定天然記念物のオオトラツグミの鳴き声だそうです。そしてアマミヒヨドリや聞き慣れたキジバトなどの声が段々加わっていき、ギャアギャアというルリカケスの悪声も聞こえてきました。そして食堂からは話し声も。

 身支度して食堂に行ってみると親父さんがリュウキュウイノシシの澄まし汁を温めてくれたので御飯と一緒に頂きました。それをつつきながら親父さんから奄美に関するいろいろな話を聞いたり、ただの飾りだと言っていた蛇の皮の代わりに大島紬を貼った蛇皮線(奄美では三線とは言わないそうな)を弾かせてもらったりしていました。女子大生たちは部屋のソファでオンラインゲームに夢中。
 で、その後は外に出て、庭の島ミカンの木に産卵に来ていたナガサキアゲハを観察したり、庭で30〜40羽が活躍中の自動草刈り機たちにエサをやってもみくちゃにされたりしていましたが、親父さんから集落内にある厳島神社の辺りでルリカケスがよく見られるという情報を聞いたのでコンパクトデジカメを手にちょっと散歩してみることに。

 その厳島神社の入り口に差し掛かった時、カラスくらいの大きさの一羽の鳥が車道を横切って目の前の民家の庭木に止まり、さらにすぐそばの生け垣の中に飛び込んできました。密生した枝に隔てられていますが間隔は2mもありませんでした。奄美大島と周辺島嶼にだけ分布する国の天然記念物ルリカケスです。その悪声は初日からずっと耳にしていたけど、声とは大違いの姿がこうも近くで見られるとは!いや〜。本当に美しかった。(残念ながらまともな写真はありません。)
「民宿たけの」の自動草刈り機。エサを撒くと
ウサギ団子のできあがり。団子に加われなかった
ウサギがその上をピョンピョン飛び交います。
ハイビスカスで吸蜜するナガサキアゲハのメス。
本土のものより白が多いです。

 散歩を終えて宿を出発したのは8時前。佐川急便大島営業所でロッドケースの発送手続きをした後は加世間、ばしゃ山、奄美パーク、あやまる岬などで蝶の姿を追いかけてから10時30分ごろに車を返却。無事に乗り込んだ飛行機は予定より少し遅れて雨の伊丹空港に着陸。ガラガラのリムジンバスと車両を減らし過ぎてぎゅうぎゅう詰めのJRに揺られて17時前に帰宅しました。

 今回の遠征は最終日以外はかなりハードでしたが、本当に楽しく忘れられないものとなりました。そこで過ごした時間は普通の観光客とは相当違ったものだったわけですが、結果的には奄美の観光の目玉であるグリーンツーリズムを徹底的にやり切った、究極の観光だったのかもしれません。
 お勧めはしないけど、こういう観光旅行も有りなのかもしれませんねえ。
ばしゃ山付近の海岸とあやまる岬。最後の最後に晴天のリーフが見られました。
 加世間で多く見られたリュウキュウアサギマダラ。  始終賑やかだったクロイワツクツク。


釣行記(前編) 釣行記(後編) 魚の写真(前編) 魚の写真(後編)

釣行記TOPへ