風雲児  烈風伝 九州縦断!釣りと歴史の旅
       2008 
             第一章 (1/4)
10月10日〜11日 志布志〜隼人〜錦江湾

・志布志上陸、桜島、隼人のティラピア。
前日の夕方、6時前に大阪南港を出港した「さんふらわあ さつま」に乗って15時間。
ようやく捉えた初めての大地・この蒸し暑い鹿児島県志布志の岸壁こそ、九州縦断の長旅のスタート地点なのです。

九州第一日は今にも降り出しそうな曇り空。
わが愛車ワゴンRは同じフェリーでやってきた関西ナンバーの車達と別れて、一面のサツマイモ畑の中を西へ。
錦江湾にぶち当たって北へと向きを変えて走ることしばし、ついに念願の桜島との出会いがやってきました。
私は火山なんて普通は見る機会の無い近畿の人間ですから感激も一入です。
溶岩に覆われた凄まじい荒野、有村溶岩展望所からの展望もよかったけど、私は朦々と噴煙を上げる火口を海越しに見上げる、国道220号線・垂水の海潟付近からの光景に一番心を掴まれました。

桜島を振り返り振り返り、220号線を北上して錦江湾の湾奥、隼人町に着いたころには辺りは雨煙に包まれてしまっていました。参ったなあ・・・、この地でティラピアを狙う予定なのに・・・。
とりあえず雨宿りも兼ねて、なぜか鹿児島空港の目の前にあるチェコ村に行って腹ごしらえ。
そのうち小降りになってくれたので、天降川の河口を中心に広がる干拓地に移動し、その排水用の水路の適当な水門を見つけて釣り開始です。

  ナイルティラピア (ナイルテラピアとも) 30cm
色々な釣りに流用可能なMLのバスロッドでメバル用のワームとジグヘッドをキャスト。アクションをつけながらゆっくり引いて来ると、おっ!追ってきた!追ってきた!
すかさず2投目、ワームを底から大きく跳ねさせているといきなりヒット!大きく何度もヒラを打って、30cmクラスのナイルティラピア、あっけなくお縄です。

ティラピアというのはアフリカや中近東が原産のシクリッド科の淡水魚。日本には戦後に食用として3種類が移入され、鹿児島や沖縄などの温暖な地域や、温泉・温排水の影響のある場所に定着しています。
とても食べようと思えるような水質ではなかったのでキープはしませんでしたが、この魚、以前どこかで知らずに口にしていることでしょう。「真鯛」いう名前で。
実際に釣ってみた感想としては、引きといい、魚の持つ雰囲気と言い、こりゃ偽者の鯛というより偽者のブルーギルですな(笑)

しかしまあ、ティラピア、ドンドン釣れます。30分もしない間に20〜33cmが7尾。折角充分時間を取ってあったのに、こんなにすぐに終わってしまうとは・・・。

      加治木護国神社の石橋
さすがに飽きてしまったので隣町・加治木町へ移動。
まずは九州高速道路からもよく見える、日本の滝100選の一つ「龍門の滝」を見物し、続いて護国神社へ。
加治木町は、泗川の戦いや関が原での敵中突破など、凄まじいまでの武勇を誇る島津義弘が最後の12年間を過ごした土地。町民も強い畏敬の念を抱いています。
その義弘の居館があった場所に現在あるのが護国神社で、石垣や館の濠に架けられていたという石橋が残っていました。

そして夕方、加治木の川の河口で「まだらの渓」のKICIROWさんと半年ぶりの再会。
かつて兵庫県の夢前に住まわれていた時に通っていた釣り場を訪れるために、毎年兵庫県まで遊びにこられており、その時にお会いするのが恒例になっているのですが、まさか鹿児島での再会が叶うなんて嬉しくて堪りません。
しかも一晩泊まらせていただけて、その上、翌日はマイボートでの本物の(笑)マダイ釣りに便乗させていただけるというのですから!

・錦江湾のマダイ
翌11日はKICIROWさんの弟さんとも合流して、6時前にKICIROWさんの愛艇で加治木港を出発。
あっという間に到着したポイントは隼人町の沖。沖と言っても海岸を行きかう車が手に取るように見えてます。こんな所で!?
そう。錦江湾はラジオが聞こえる場所で大鯛が釣れると言うのが売りだそうで、この場所でも80cmオーバーが毎年何枚も何枚も上がっているとのこと。期待が高まります。
碇を降ろし、いよいよスタート。
お借りしたシャベルビシにオキアミボイルを詰めた3本針テンビンズボ仕掛けを50〜60mの海底まで落とし、ハリス分巻き上げて、あとは待つだけ。

最初の1尾はKICIROWさんの弟さんでした。
かるーく巻き上げられた本命は、25cmほどの真鯛。
続いてKICIROWさんも同サイズをゲット。今日はこのサイズばかりなのかと不安顔です。
さらにサワラの若魚であるサゴシも上がってきました。このポイントでサゴシを釣ったのは初めてということで、兄弟で首を傾げられていました。
おっと!私の竿もグググッ!と引き込まれました。素早くリールを巻いてアワセを入れ、小気味よい引きを味わいながらせっせとリールのハンドルを巻き上げます。
ハリスを掴めばゆらゆらと姿を現した華やかな魚体、本命の真鯛だ!これもまた25〜6cmですが。

それからKICIROWさんの35cmほどのサイズを頭に各自何匹かずつ追加しましたところでアタリが遠のいてしまい、碇を引き上げて深場に移動。
しかしこのポイントは時期が早すぎたのか不発に終わってしまい、さらに移動。
ところが、ここでトラブル発生。魚探が正常に動かなくなってしまったのです。
「しっかりせえ!」と怒鳴ってみてもこの魚探はアメリカ製、言葉が全く通じません。困ったなあ・・・。
結局あれやこれやとボタンを押しているとそのうち突如として機嫌を直してくれたのですが、これは結構なタイムロス。

復帰後、私に連続ヒットタイムが訪れました。30cm程のサイズも混じって4〜5枚立て続けに上がってきました。
一方、KICIROWさん兄弟は何度も何度もハリスをブチブチと切られてしまっています。
弟さんにサゴシがヒットして、これが元凶かとも思いましたが、その後私が針に掛けた魚を見て納得。
とてもフグとは思えない動きをするシロサバフグでした。

    サゴシ 40cm。怖い顔・・・
12時前、アタリが少し遠のいたので竿を大きくしゃくって誘いをかけた瞬間、ドン!と海に突き刺さりました。
これまでとは全く違う力、パワフルに左右に走り回ります。その力を味わい尽くすようにしてリールを巻き、ハリスに手を掛けてワクワクしながら手繰り寄せます。
現れたのは細長い銀灰色の40cmの魚体。おっ!サゴシかぁ〜。
しかも針は横っ腹のど真ん中に突き刺さっています。なるほど、こりゃ引くわ。

1時半ごろ、納竿です。
私の釣果は20〜30cmの真鯛が9尾。
時期が早かったのか期待の80cm級は掛からず小型ばかりでしたが、ここ錦江湾の真鯛はどれもこれも惚れ惚れする素晴らしい美しさ。
あの真鯛の煌きをこの手にできただけでも大満足です。
これは再挑戦したいなあ。次は船上で右往左往するような大物を目指して。
        桜島をバックに。 小さいながらも美形ぞろいの錦江湾のマダイ。
大変なお世話になったKICIROWさんご一家に感謝しつつ、加治木町を出発。
さあ、翌日は「かまちゃんの釣り日記」のかまちゃんと合流して磯釣りです!

本当は枕崎の沖合い90分の所に浮かぶ活火山、薩南三島の「硫黄島」に行く予定だったのですが、出発前夜になって昼釣りがキャンセル。
渡船は夜釣りでの出船になってしまい、あまりのことに調整が出来ず涙ながらに憧れの硫黄島を断念、何より昼間にグレが釣りたかったこともあって「甑島」での2日釣りに変更と相成ったのです。

夜釣り文化があまり無い四国をHGにしているもので思いも付きませんでしたが、九州はまだまだ夜釣りシーズン真っ只中。
そんな中での我々の挑戦の前には、果たしてどのような展開が待ち受けていることでしょうか。

第二章へ続く)

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