九州縦断!釣りと歴史の旅 2008 |
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第二章 (2/4) | |
10月12日〜13日 串木野〜甑島(1) |
・串木野港から呻きの海へ。 鹿児島県串木野新港から西へ38キロの東シナ海に浮かぶ磯釣り師垂涎の地・甑島(こしきじま)列島は、里・鹿島・手打・瀬々野浦など数箇所の渡船区に分けられています。 その中から今回の釣りを強力にサポートしてくださった「かまちゃん」が選択したのは甑島列島でも最も北に位置する「里」地区。 上甑島と、その東側に長く突き出した射手崎の沖、東北東に4.5kmに渡って、甑島特有の縞模様が走る岩肌も美しい独立磯の群れが激流の中に列を成す魅力的な渡船区で、夜は渡船が経営する島の民宿に泊まっての1泊2日の釣りを繰り広げるのです。
しかしその釣具屋がなかなか見つかりません。見つけて立ち寄ってもオキアミは有れども集魚剤がほとんどありません。 結局、串木野を通り越した薩摩川内市でようやく2日分のオキアミと集魚剤、氷や道具などを揃えることができました。 後で聞くとこの地域では磯釣りのエサは何と、大型のスーパーマーケットで売られており、食糧や日用品と一緒に調達することができるんだとか!カルチャーショックだ・・・ その夜は串木野駅裏のビジネス旅館浜ヶ城で宿泊。素泊まりなら3000円ながら、タオルに歯ブラシ、冷水とお湯の給水機、氷、検索にお使いくださいとPCまで備え付けてあり、一眠りして夜中のうちに出発するというと部屋を静かな所へと替えてくれたという親切さ。 いい宿だ! それなのに、何故だ!眠れないのは。 憧れの九州の離島での「クロ釣り」ということに極度に興奮したのか、とうとう30分ほどしか眠れないまま2時ごろ宿を出発。 串木野新港には既に15〜6人の釣り人たち。急いで道具を下ろし、かまちゃんと初めての対面。 事前に電話で何度も連絡を取り合っていたこともありますが、それでも初めて会ったとは全く思えない、ネット仲間特有のこの感覚。 初めての九州の磯、このかまちゃんの存在の心強いこと。
さあ、夕方5時まで、14時間にも渡る戦いへのスタートです! 折角なので東シナ海の潮風を感じようと思ったのと、何より寝不足による船酔いを恐れて渡船の天井に陣取っていましたが、途中で船長からの一声。「今日は濡れるから船室に入って」 そうなんです。海は時化ているのです。 天気図をチェックしてこられたかまちゃんが、なぜあの天気図でこうも時化るのか分からないと頭を抱えておられます。 かなり揺れる船室、甑島まで1時間ほどの航海に案の定、寝不足の体はKO寸前にまで追い込まれていました。 やがて船はスローダウン。 吹きすさぶ風とサーチライトの灯りの中、ズラリと連なる迫力溢れる独立磯に次々と釣り人たちが渡っていきます。 やがて私たちの番。バッカンやクーラーをホースヘッドに上げて準備を整えますが、なぜか着替えなどが入った泊まり用のカバンや、明日の餌や氷や飲料水がたっぷり詰まった重たい重たいイグロークーラーも一緒に並んでいます。 四国の鵜来や沖の島と違い、この地では島の民宿を利用する場合でも持ち込んだ道具は全て磯に持って上がることになっているんだとか。大変だぁ。 ・ほろ酔い船酔い赤提灯。 私たちもどうにか渡礁完了。 ここは里の集落に程近い「近島の平瀬」というポイント。短距離走でも出来そうな、平らで広くてとにかく足場のよい所です。 辺りはまだまだ真っ暗。私は船酔いの吐き気を堪えながら迷っていました。夜釣りの道具を出すべきか、回復を待つべきか。 回答はやはり「折角来たんだし竿を出さないのはもったいないな」でした。 ふらつく体で3号ロッドを伸ばし、5号通しに3Bの電気ウキと尾長針をセット。九州の夜釣りには不安たっぷりではありますが、これが今回の最強タックル、いざ勝負! パラパラと撒き餌を撒きながら瀬際を流していると2投目でいきなりウキの赤い光が水中に突っ込みました。力任せに引っこ抜くと40cmオーバー!! ただ赤い・・・。四国でもおなじみのホウライヒメジでした。 その後数投で尾長がヒット!ですがサイズは20cmちょっと。5号ハリスが泣いています。 このサイズを数匹釣ったところで夜が明けました。明らかになった足元水中は思ったとおりコッパ、コッパ、コッパ。最大でも25cm。 竿を替え、仕掛けもゼロスルスルに変更して遠近作戦を取り、はるか沖を撒き餌・仕掛け同時撃ちで攻めてみますが、沖でコッパ尾長をかわしても、代わりにヒットするのは30cmまでのキツ、キツ、キツ・・・。そのうちウスバハギも登場。 海の中はやっぱり真夏ですなあ。マシな型のグレはいずこに?? 練り餌も効果なく、堪りかねてカメノテやらヒザラガイやらをむしってサシエにしてドンドン沈めますが、これはな〜んにも反応なし。 ・茫然自失の瀬替わりに。 そのうち9時の見回り船が来ました。かまちゃんと相談して磯替わり・・・いや、ここは九州だから瀬替わりです(笑) その船の上、かまちゃんが船長に呼ばれました。そしてショックを受けてこちらへ戻ってくるかまちゃん。 何ということでしょう!船長の知り合いに不幸があって、その日の民宿での泊まりが出来なくなり、当然翌日の釣りもキャンセル。 さらに夕方5時まで釣りができるはずだったのが、午後1時で終了ということになってしまったのです。 前代未聞の展開に二人して打ちひしがれながらも、船は新たな磯に到着しました。 近島の北に位置する「松島のヘタママコ」だとかまちゃんが教えてくれたこの磯、かなり早い本流が磯の先端をかすめて走っています。 私の入った北向きではそうでもなかったですが、かまちゃんの陣取る南向きでは撒き餌に50cmクラスの魚が群がっています。 ただし、その魚の尻尾は黒く、しかもサシエを全然食ってくれません。 随分経った頃、私の撒き餌にも巨ギツたちが反応するようになりましたが、やはりなかなか食いません。 重めの仕掛けを流れの中で張り張りにして一つ掛けたものの針外れ、ハリスウキをセットして超浅ダナを釣ってどうにか30cmクラスがヒットしてくれただけでした。
あまり四国と代わり映えしない海とは違って、この中には四国では見たことも無いような小魚が泳いでいるのです。 スズメダイ?、フエダイ?、ギンポ類・・・。ゲテモノ五目釣り師、気分転換も兼ねてグレ針3号で磯遊び! されど絶不調海道驀進中の風雲児の針にはこんな魚たちすら掛かってくれないんです。 なぜだ・・・!? そんなことをしている間にかまちゃんが大きく竿を曲げました。 遂にやりました!何度もの突進を見事にかわして水面に姿を現した魚! 黄色い・・・。 さらに1時前、遠投して潮目を攻めていたかまちゃんに素晴らしいアタリ! 素晴らしい突進で竿を弓のように引き絞り、あっという間にハリスを引きちぎっていった魚は一体?? フカセ釣りに復帰していた私も同じ場所を攻めさせてもらいますが、2投もできないうちに無情のタイムアップ。 ようやく訪れたチャンスであるだけでなく、この釣り場、海の雰囲気が一変する3時を過ぎたころに大きなドラマを用意してくれていそうな予感がしていただけに、誰にも想像もできなかったアクシデントが残念でたまりません。 この日は上物狙い、同船したテスターらしき方も含めて船内全滅でした。 底物の釣果もサッパリで、旨そうなスジアラを仕留められていた方だけが一人輝いておられました。
悲しみのうちに戻ってきた串木野港。 使えなかった大量のエサや氷の詰まったイグローをヒイヒイ言いながら陸揚げするのもまた涙を誘います。 ですが、まさかこのままで帰るわけにはいきません。 で、翌日の渡船の手配をかまちゃんにお願いしたのですが・・・ 片っ端から電話した、鹿島へ渡す誠芳丸・ハーバーワン・昴エクスプレス、手打へのナポレオン隼・・・どこも、1隻も、明日は出ないとのこと。連休にも関わらずです。これで串木野港発着の甑島の渡船は全滅。何ということだ・・・。 計画が根底から覆った私たち2人に、明日の釣りは果たして用意されているのでしょうか!? (第三章へ続く) |
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